グルカゴンは抗インスリン

インシュリンと共に血糖値を一定に保つ作用をするホルモンで、膵臓ランゲルハンス島のA細胞(α細胞)で生合成・分泌されます。
グルカゴンは血糖を上げる働きがあることから、抗インシュリン、インシュリンBとも言われ、低血糖が刺激となり肝細胞に作用してグリコーゲンの分解を促進する。

グルカゴンの分泌

低血糖になると分泌が促進され、高血糖では抑制されています。
  • 分泌を抑制するもの:高血糖、遊離脂肪酸、ソマトスタチン、セクレチン
  • 分泌を促進するもの:低血糖、アルギニンなどのアミノ酸

グルカゴンの基準値は40-180pg/mLですが数値が300pg/mLを超えるとグルカゴン産生腫瘍や糖尿病性ケトアシドーシス、熱傷などに罹りやすくなります。
★ 既にインスリンを分泌していない1型糖尿病患者では、低血糖という刺激があっても、グルカゴンが分泌されなくなっている。このため、低血糖が悪化しやすく危険ということでもある。

グルカゴンの働き

  1. 次のような働きでブドウ糖がつくられ、血糖値を上げます。
    • 肝臓ではグリコーゲン分解を促進(グリコーゲンホスホリラーゼの活性化)
    • 骨格筋ではアミノ酸からの糖新生を促進
  2. 脂肪細胞で脂肪分解を促進、遊離脂肪酸が放出されます。
    • 脂肪組織では、脂肪酸とグリセロールへの分解が促進されることで遊離脂肪酸が放出され、これは肝臓でケトン体をつくる原料になります。ケトン体は全身に運ばれエネルギー源になることがあります。
  3. 膵B細胞のインシュリン分泌、膵D細胞のソマトスタチン分泌、下垂体前葉の成長ホルモン分泌を刺激します。

グルカゴンが減少する疾患

自発性低血糖症、糖尿病(不安定型)、慢性膵炎(重症型)、膵全摘 など

グルカゴンが上昇する疾患

クッシング症候群、グルカゴン産生腫瘍(膵A細胞腫)、胃切除後、肝硬変、急性心筋梗塞、急性膵炎、腎不全、糖尿病 (ケトーシスを伴うとき著しく高値となる)


血糖とは血糖値マメ辞典グルカゴン