脳疲れの慢性疲労症候群(CFS)

休んでも、眠っても疲れが取れず、体がだるい、やる気が起こらないなどの症状が長く続く場合は「慢性疲労症候群」の病的な疲れが心配になります。
30〜40歳代の女性に多くなる精神的な疲れで、脳が疲れているようです。

CFSは、日常生活が送れないほどの重度の疲労感が長期間続く状態をいいます。身体的、精神的原因ともに解明されていません。 病的な疲労感は休養しても全く改善せず、風邪が長引いたような症状が続いたり、ひどい疲労感で日常生活が出来なくなったりします。

日本では、約38万人がCFSを罹患していると推定され、CFSは、疲労が蓄積された慢性疲労とは別のもので、神経・内分泌・免疫系統の機能不全の一群と見られていており、呼称が紛らわしいことから、慢性疲労免疫不全症候群の呼称を患者団体から提案されています。

慢性疲労症候群は1980年代後半に初めて認められ、当初は “ヤッピーインフルエンザ(yuppie flu)”と呼ばれていたものです。原因が不明であり、うつ病など他の疾患を除外することによってしか診断できないことから、医学界の一部では、独立した疾患とは みなしていません。

症状

CFSは男性の3倍と女性に多くなる疾患で、長期の疲労感、睡眠障害、記憶力や集中力での障害、疼痛などの症状が集合的にみられ、多発性硬化症と同程度の障害を来すこともあります。 長期間の疲労感の他に次の症状を合併することがあるます。
  • 微熱 ・咽頭痛 ・頸部あるいはリンパ節の腫張・原因不明の筋力低下
  • 羞明 ・思考力の低下・関節障害 ・睡眠障害
重傷の場合には、身の回りのことが何も出来ず、日常生活においても介助が必要で、1日中就床を必要とする場合もあります。
厚生労働省の診断基準では、最低要件として「他の病気によるもので無い事」「6ヶ月以上にわたる症状の持続」とされています。

原因

原因は特定されていません。最近の研究では、ウイルス性感染は症状が現れるのを早めることはあり得るものの、慢性疲労症候群の原因ではないとする見方が強く、神経・内分泌・免疫系統の機能不全の一群と考えられています。

診断

慢性疲労症候群を確定できる検査法はなく、甲状腺疾患、精神病、アルコール依存症など、同様の症状が現れる病気を除外するために検査・診断をする必要があります。慢性疲労症候群診断が下せるのは、薬の副作用も含め、この疲労感を説明できる明らかな原因が見つからなかった場合に限られます。

治療

CFCの病因が特定できない、さらに病態生理も明らかになっていないため、治療は、症状の軽減を目的としたものとなり、発病前の機能や健康レベルに回復することが目標になります。 CDCによれば、米国での治療は次に示す項目を組み合わせて行われているとしています。運動療法・教育・非ステロイド系抗炎症剤・低用量三環系抗うつ剤・抗不安剤・興奮剤・抗菌剤・抗アレルギー治療・抗低血圧/抗頻脈性不整脈治療など、これ意外に試験的に実施されるものもあります。

受診

現状、うつ病などの他の疾患に誤診されているケースも多いと見られており、神経・内分泌・免疫などの一群を総合して理解している専門医がいる医療機関を選びたいものです。CFSは神経・精神に関係する薬剤に敏感になっているため投薬の副作用も出やすいので、関連する診療科を別々に受診し続けないことです。

・・・・・・・・・・
下記はHealthDayで取り上げられた報告の一部です。

レトロウイルスが慢性疲労症候群の原因の可能性
慢性疲労症候群(CFS)患者の約3分の2がXMRVと呼ばれるレトロウイルスに感染していたことが、報告されている。(2009年10月 米クリーブランド・クリニックラーナー研究所) 「今回の研究は、XMRVが慢性疲労症候群の原因であることを証明するものではないが、原因の有力な候補である可能性を示唆している。XMRVが原因であ ることが証明できれば、疾患の診断、対処、予防は大きく前進する。このウイルスの複製を予防できる抗レトロウイルス薬が存在する可能性がある」
..... XMRVやHIVなどのレトロウイルスは、DNAではなくRNAからなるゲノムを有している。ウイルスが細胞に感染した際に、RNAがDNA内に転写され、宿主DNA内に組み込まれる。 .....

幼児期の心的外傷が慢性疲労症候群に関連
幼児期に性的、身体的、精神的虐待により心的外傷(トラウマ)を受けると、成人後に慢性疲労症候群(CFS)を発症しやすくなるこという報告がある。CFS患者の約60%が幼児期にひどい虐待を受けており、このような患者にはストレスに対する反応の低下もみられるという。 (2009年1月 米国疾病管理予防センター(CDC))

体内時計の変化が病的疲労をもたらす
さまざまな疾患でみられる病的疲労は、疾患に関連する生化学的変化によって体内時計が乱れるために生じるこという報告がスイス、チューリッヒ大学病院のThomas Birchler氏らによって報告されている。
ほとんどの急性および慢性の感染症、ならびに関節リウマチ(RA)や多発性硬化症(MS)、クローン病などの自己免疫疾患における炎症反応で、炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)-α(アルファ)の活性化がみられることに着目。
TNF-αには、感染の病原体を排除する働きがあることが知られているが、今回の研究の結果、それだけでなく、時計遺伝子の発現を妨げることが示された。 つまり、TNF-αは、身体の正常な睡眠覚醒リズム(生物学的時計)を逆転させる遺伝子に作用し、概日(circadian)時計が支配する覚醒と疲労の日内周期を乱す。


■ メタボリック・ドミノ対策は100%ゴーヤー成分の無添加食品で :
  カプセルで苦くない蘭山ニガウリ100%の 糖素減
■ 糖尿病の基本用語集 :
  血糖値マメ辞典
■ 血糖値を下げるものはどれ? :
  血糖値を下げる、栄養成分・食べ物
■ 生活習慣からの体の不調、その基礎知識と対策 :
  ホントナノ